RedHat Linux 4.2 におけるAtermIT55DSUを使用したPPP接続

初版作成日
西暦1997年 9月24日 第0.1版
最終更新日
西暦1999年 2月18日 第0.2版
野泉雄嗣<noizumi@tk.airnet.ne.jp>


0. 目次

  1. はじめに
  2. 設定手順
  3. 実際の接続

1. はじめに

1999年2月18日追加文ここから。

本ペイジにある改造スクリプトは古いカーネルで、特定の母板 (筆者のASUS P/I-XP6NP5等)において、相性等何らかのシリアルの通信に 問題があったと思われる時代に有効だった方法を載せています。

私の確認する限りでは、カーネル2.0.35 以降において、本ペイジの方法を 使用しなくとも、pppd の使用が可能である事を確認しています。 従って、現在においては改造スクリプトを利用する必要は全く無く、 ほとんど資料的価値も無いと思われますし、PPXP の方が 簡単確実ですので、そちらの御使用をお勧めします。

最新カーネルをお使いで、pppd の接続がうまくいかないという人 は、本ペイジのスクリプトを使用したとしても解決する可能性は 低いでしょう。 往々にしてそういう場合は、設定ファイル等にミスがある と思われますので、すぐに諦めず、じっくり何が正しくて、何が間違って いるかを冷静に分析しましょう。

とりあえず、cu 等のコマンドを使用して、Aterm に設定している AT コマンド が、プロバイダとの通信確立を確実に行っているのかをチェックしてから、 Netcfg の設定をする事をおすすめします。

こういう基本的な事もクリアせずに、自分の思い通りにいかないからと 言って fj.os.linux 等で名指しでゴネるなどというガキっぽい事は 決してしないで下さい:-)

以上 1999年2月18日追加文ここまで。
RedHat LinuxにはPPP接続が 簡単に行えるGUIベースのNetwork Configuratorという便利なツール があります。

モデムでは小細工なしで簡単にうまくいくのですが、 AtermITxxシリーズは、なぜかうまくいきません。
そこで、何とかこの“お手軽環境”を利用すべく、スクリプトを でっちあげました。
/etc/sysconfig/network-scripts/ifup-ppp

このスクリプトを、このページで解説している設定完了後、 /etc/sysconfig/network-script/ へコピーする事で、Network Configurator からボタン一押しでppp接続が可能になります。

今回、最も簡単なPAP認証の方法のみ解説していますm(__)m。


2.設定手順

  1. まず、root になって
    su[Enter]

  2. control panel を起動します。
    /usr/bin/control-panel[Enter]

    [contorol panelの絵]

  3. モデムの設定
    control panelからModem Configuration を起動します。

    または、

    /usr/sbin/modemtool[Enter] で起動します。

    [Configure Modemの絵]

    ここで Aterm が接続されているシリアルポートを選択します。
    選択して[OK]を押すか、ダブルクリックすると、ウィンドウが閉じ、 /dev/modem のシンボリックリンクが、デバイスに向きます。
    ls -l /dev/modem[Enter] で確認できます。

    ちなみに私の場合は、/dev/cua1 です。
    lrwxrwxrwx 1 root root 4 Sep 7 21:15 /dev/modem -> cua1

  4. ネットワークの設定
    control panelからNetwork Configuration を起動します。

    または、

    /usr/sbin/netcfg[Enter] で起動します。

    1. [Names]ではプロバイダより通知されたname serverをNameserversの項に設定します。

      [Network ConfiguratorのNamesの絵]

      ぱとネットの場合は、
      202.208.69.33[Enter]
      202.208.64.33[Enter]
      と入力します。

      ここで記述した結果は、/etc/resolv.conf に反映されます。

    2. 次に[Interfaces]の項目を設定します。

      [Network ConfiguratorのInterfacesの絵]

      [Add]ボタンを押すとInterface Type:の選択が現れます。

      [Choose Interfaceの絵]

      ◆ PPP
      を選択して[OK]を押します。

    3. 次はCreate PPP Interfaceというウィンドウが出ます。

      [Create PPP Interfaceの絵]

      Phone Number: [ xxxxxx ]プロバイダから通知されたアクセスポイントの電話番号を入れます。
      ■ Use PAP authenticationこれは同期64kbps PPP変換接続をする場合、必ずチェックしましょう。
      PPP login name:PPP認証では必要ですが、PAP認証の時はこの欄は使用されませんので空欄でOKです。
      PPP password:PPP認証では必要ですが、PAP認証の時はの欄は使用されませんので空欄でOKです。

      1. 入力が終わったら[Customize]ボタンを押します。

        [Edit PPP InterfaceのHardwareの絵]

        ■ Use hardware flow control and modem linesハードウェアフロー制御を有効にする。
        これは初期値のままで良いでしょう。
        □ Escape control characters制御コードのエスケープを行う。
        すみませんがここはよく理解できていません(^^;。チェックすると pppd 起動オプションに asyncmap 00000000 が追加されます。私はチェックしていません。
        ■ Abort connection on well-known errors良く知られたエラーで接続を中断する。
        話し中や、ログイン失敗などで接続を即座に中断します。/etc/sysconfig/network-scripts/chat-ppp0 の'ABORT'...の行に記述されている文字列で接続中断するようになっています。
        □ Allow any user to (de)activate interface他のユーザが ppp interface を有効または無効にする事を許可する。
        ここはチェックしても効かないようです。
        Line speed:115200 がデフォルトですが、シリアルポートのスピードが対応しているのであれば、このままで大丈夫です。
        Modem Port:Modem Configuration で設定が完了していれば /dev/modem のままで構いません。
        PPP Options:安定動作の確認がとれるまで、kdebug 7 debug と入力しておきましょう。

      2. [Communication] ボタンを押します。

        [Edit PPP InterfaceのCommunicationの絵]

        Modem Init String:モデム初期化文字列です。
        ATQ0V1X0$N1=1$N9=0S7=50&K3 同期64kbps PPP 変換
        Modem Dial Command:最初 ATDT になっていますが、ATDにします。
        Phone Number:先程入力したプロバイダのアクセスポイントの電話番号が既に入っているはずです。

      3. [Networking] ボタンを押します。

        [Edit PPP InterfaceのNetworkingの絵]

        □ Activate interface at boot timeマシン起動時に有効にする。
        パソコン起動時にPPP接続を行います。チェックしない方が無難でしょう:-)。
        ■ Set default route when making connection(defaultroute)接続完了時、デフォルトのルートを設定する。
        早い話が pppd のオプションに defaultroute を付けます。これを指定しないとパケットがプロバイダへ向かって飛びません。デフォルトのままチェックしておいて下さい。
        □ Restart PPP when connection fails接続に失敗した時に再接続する。
        回線が話し中で繋がらない時にチェックしておくとよいのですが、アカウントやパスワードを間違えたりした場合もリトライしまくりますので、接続できる事を確認できてからチェックしましょう。


      4. [PAP] ボタンを押します。

        [Edit PPP InterfaceのPAPの絵]

        Send username にログインするアカウント名を記述します。

        [Append] ボタンを押します。

        [Edit Chat Entryの絵]

        変なダイアログですが、Chat Script編集用のを使い回しているようです(^^;

        Expect: [アカウント名]
        Send: [パスワード]
        を記述し[Done]を押します。

      Edit PPP Interface ウィンドウの[Done]を押し、Save current configuration? と聞かれますので [Save]を押します。


  5. スクリプトの置き換え
    ifup-ppp
    を /etc/sysconfig/network-script/ のディレクトリへコピー します。

    ちなみにWindows環境でブラウザから保存される場合は、 改行コードが変換されて、そのままLinux環境へ持って行くと 誤動作する恐れがあります。 以下のファイルの内、お好きなのを展開してお使い下さい。
    ifup-ppp.zip
    ifup-ppp.lzh

    念の為、オリジナルは保存しておきましょう。
    cd /etc/sysconfig/network-script
    mv ifup-ppp ifup-ppp.ORIG
    cp [このページから保存したifup-pppのPATH]/ifup-ppp .

    これで一通り、作業は完了です。

3.実際の接続

  1. 回線の接続
    Network Configurator には、ppp0 というのができあがっているハズですので、それを選択して、[Active] のボタンを押してみましょう。

    AtermIT55のERランプが点灯し、ACTランプが点滅しはじめるはずです。
    そうならない場合は、モデム初期化文字列が間違っている可能性が ありますので、チェックしてみて下さい。

    ACTランプが完全に点灯して10秒くらい経ってから以下を実行します。
    ifconfig -a[Enter]

    ppp0 Link encap:Point-Point Protocol
    inet addr:202.208.69.160 P-t-P:202.208.69.62 Mask:255.255.255.0
    UP POINTOPOINT RUNNING MTU:1524 Metric:1
    RX packets:35 errors:0 dropped:0 overruns:0
    TX packets:40 errors:0 dropped:0 overruns:0
    という様な ppp0 のデバイスが表示されれば成功です。

    うまくいかない時は、話中かもしれませんが、電話番号、 アカウント名、バスワードが正しいかも、もう一度チェックして みましょう。

  2. 回線の切断
    Network Configurator の ppp0 を選択して、[Deactive] のボタンを押してみましょう。
    回線が切断されるはずです。
    うまくいった方はおめでとうございます。これで、今後、ボタン一発ON/OFFが可能になります。


    不幸にも切断できなかった場合、

    kill -TERM `cat /var/run/ppp0.pid`[Enter]

    または、
    ps -ax|grep pppd|grep -v grep[Enter]

    とやると、pppd のプロセスID(一番左側の数字)が解りますので、それをKILLしてやれば、回線を切断できます。
    kill -TERM pppdのプロセスID[Enter]


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[EOF]