What's new Jun. 2001


Jul. 30,2001 会社ごっこ(5)

会社の経営者達は最低のクズだったが、カリスマ技術者達のおかげで技術者は 非常に優秀な人材が集まっていた。

経営者達は「事業戦略室」という「仲良しサークル」で、とても素晴しい 「戦略」をお立てになる。 たとえば業界需要が最大でも20%しかないのに「シェアを80%取る」という 意欲的な半期計画をたてるなど、それはもう筆舌に尽くしがたいほど 素晴しいものだ。

監査法人からは当然「何を根拠に言うとるんじゃ?」とツッコミが入るが、 マーケティングリサーチもやっておらず、自社の現場すらも何も見えて いない状況で、根拠も無しに「夢」を「目標」として掲げているのだから、 そもそも答えられる訳もない。

これなら、わしが「株で所得100倍増計画」などと言っている方がまだ現実味が あるというものだろう:-)。

そして、組織図は作るが誰がどんな役割を持って動くかは決めないので、 「仏作って魂入れず」状態。

ちなむと、わし的には「夢」は将来の達成目標であり、具体的な施策は未定でも いいし、大きければ大きい程良いだろうが、「目標」とは短期的に達成するもの であり、具体的な施策と現実感覚が伴わねばならないと考えている。

前線の有能な人材と首脳部の腐敗という構図は60年前にもあった。 大日本帝国の軍隊である。

大東亜戦争に突入した時の大日本帝国海軍の軍人には、闇夜でも 4km先の敵艦隊の動きを識別できる超人的能力を備えたものが歩哨として活躍し、 電探がまだ発達していない段階において、夜襲に絶大なる威力を発揮した。

失敗に学ぶ米軍はこれら超人的な能力には、凡人でも対抗できるシステムを つくるという方式で対処したが、戦法が無効化されてもその失敗に学ばない 日本軍はただ無為に人材を使い捨てにするのみであった。

失敗に学び、戦略を変えねばならなかったにも関わらず、優秀な能力を当り前と 考え、「百発百中の砲一門は百発一中の砲百門を制す」などと、味方を過大評価 して敵を過小評価し、凡人が非凡となる為の標準化を怠ったのだから、敗けて 当然とも言える。

軍隊という組織は合理性と効率を追求し、これが機能していないと淘汰される訳 だから、企業という組織にもあてはまるものがある。

技術習得に関しては業界トップクラスの技術が得られたと思うし、また、 「野泉さんのいる会社とは今後一切つき合わない」と言われつつ開発を 成し遂げた事も良い経験になった。これは感謝すべき事ではある。

Jul. 22,2001 会社ごっこ(4)

7/11に整理解雇者の発表があった。メンバは以前わしが統括していたSI部隊の メンバがほとんどだった。

人選の明確な説明は会社からは一切なされていないが、ある取締役などは、 「営業は利益を無視してなんでも仕事を受けるので、会社が赤字になる。 営業が『なぁなぁ』で技術者に仕事を依頼するから、その甘えを断ち切る為に 技術のある人から切った」などと訳の解らぬ事を言っているらしい。

「悪いのは営業」、だから「技術者を切った」という論理なのだが…
まぁ、最近は暑い日が続いたからねぇ…:-)

それと「技術のある人は再就職にも困らないだろうから」という事で、 「技術のある人から切った」という事だそうだ。 技術者を切ったら実作業をする者が居なくなるのだが、それは外注でやろうと いう事らしい。外注にすれば、営業が「なぁなぁ」で仕事を依頼する事は無い ので利益が出る様になるというのが彼らの主張である。

過去にSI部隊の人員が大幅に減少した時、営業と外注だけでSI案件をこなして 利益を確保しようとした事があった。しかしながら、営業では技術が解らない ばっかりに、依頼した仕事の工数見積りが妥当であるのか、また、外注が手を 抜いているかが全く解らない為、失敗に終わっている。

これから考えても、今回の整理解雇が生き残る為というよりは、死期を早める 為に大いに役立つ事だろう。

そもそも整理解雇というのは、会社を廃業するかもしくは事業を縮小するに あたり、その部門の人材が 配置転換不可能な場合でなければならない。 これに該当しない場合は不当解雇にあたる。

事業的にはSIを縮小して、今後それに代わって商品を開発するという事らしい。 SI部隊というのは顧客の要望に応えるシステムを構築する部隊なので、商品開発を するというのであれば、自社の要望に応えるシステムを開発すれば良い訳で、 配置転換不可能という事は無い。

どう考えても合理的な理由が見付からないが、それもそのはずで、これは 社長の個人的な嗜好に合わない人材を切り捨てたからに他ならない。 それを後から無理矢理辻褄を合わせようとして、子供の言い訳にもならない様な 論理的に破綻した御粗末な言い訳になっている訳だ。

まぁ、今回整理対象になった人々は給与未払いが発生する前に早々に会社を 離れる事ができてむしろ喜んでいて、不当解雇を理由に会社に留まろうという 人はいないので、どうでもいい事だ。

社長がなぜ技術者を切り捨てられるのかと言えば、営業の視点でしか物事を 考えられないので、契約さえ取ったら、それで終わったと考えているからだ。 技術者がモノを作ってお客様に納める工程は全て損害と考えているのだ。

それを裏付けるエピソードが以前あった。SI案件では、契約したお客様の 要求するモノを期日までに作って納めなければならないが、技術者が仕事量的に 限界に達しているにも関わらず、社長は 「技術者も営業をやって、全員営業をしてでも売上を達成せねばならない」 などと言っている。

これはたとえば一日100個しか作れない「焼きたてパン屋さん」があったとして、 売上が足らないから、パン焼職人も売子をやって「1000個売ってこい」と言って いるようなものである。

たとえ1日で1000個の予約が取れたとしても、それを生産する能力は無い。 加えて、パン焼き職人を売子にしているのだから、生産能力は更に低下していて 100個/1日の生産能力すら確保できないだろう。

つまり、営業的視野狭窄に陥った社長にとっては、契約額イコール利益であり、 その契約を履行する為に、技術者が働いた人件費は社長の感覚で言えば「損失」 なのである。だからこそ他の人から見れば自らの手足を喰うタコの様に見える 今回の整理解雇が、社長にとっては「損失の抑制」という事になる。

社長の利益に関する認識のおかしさのエピソードは他にもある。 たかだか30名程度しかいない会社に管理部が5名もいるので、 「100人体制の会社じゃあるまいし、多すぎるのではないか?」とのわしの 問いに「ファイナンスの資料作成を行ったりしていて充分 利益を上げている」などと言っている。

ファイナンスなど、出資者が資金を出すのは、株式の配当やキャピタルゲインに 期待しての事であるから、資金を集めるのは借金と同じだと思うのだが、社長は 利益だと言っていて、借金と利益の区別もつかないらしい。こんな調子だから、 会社の金と自分の金の区別がついているのかも非常に疑わしい限りだ。

話を戻して、社長の感覚でいう「損失」の人件費であるが、残業代などが出て いるなら仕事の効率の悪さの問題とかもあるかもしれないから、まだ解るのだが、 会社側が一方的に全社員を管理職扱いにして、それらを一切出していないので、 技術者の人件費はマイナスになっているほどだ。

人件費というコストがマイナスになっているという事は、社員が給与の二倍以上 働いている事になり、ほとんどタダ働きさせていると言っても過言ではない。

ここまで経営者に有利な条件であれば、どんな経営センスの無いド素人でも 黒字が出せそうなものだが、会社を設立して5年経って、未だに単年度黒字を 達成した事すらないらしいから、開いた口が塞がらない。 まぁ、誰かさんが利益以上に売上金をごまかしてネコババしているという噂も うなずけるというものだ。

きっと、手際よく先に上場してITバブルを堪能した「悪いおともだち」に色々と 金の抜き方を教わったのかもしれないが、儲かってる会社が税金の支払いを 逃れる為にやる手法を、赤字会社でやるあたりが、「頭悪すぎ」としか 言いようがない。

いやー、人間上を見てもキリがないけど、下を見てもキリがないね。 世の中ってホントに広いと呆れる感心するばかりだ:-)

Jul. 01,2001 会社ごっこ(3)

結局わしはとっとと会社を辞める事にした。

「やめようと思っています」とメイルを出したら専務から呼び出しがあり、 開口一番「いつ辞める?」と嬉々として言った。

これで社長と専務は、わしらSI部隊が火消しを行った事も一切評価せず、 これからも一切評価しないという明確な意志表示をした訳だから、 もはや何も迷う事は無い。

元部下達を置いて去るのも気が引けるのだが、社長、専務が率先してわしを 排除しようとする以上、是非もない。

残っている人達には悪いのだが、どう考えてもあと半年位しか会社は持たない と思う。

まぁ、SIやってた頃だったら、普通の会社なら十分利益が上げられるのだが、 何しろ、赤字会社にも関わらず、主要な役員達が一人を除いて100万円以上の 給料なのだから、これに利益をほとんど吸い取られていて、一般社員の人件費 などは資本金を食い潰すしかないというのが現状だ。

彼らとしては、経営に失敗していても、その給料金額は貰って当然とでも 考えているのだろう。だから、意識としては社員が金を食い潰している としか思えないのだ。

そうなると、万が一、天と地がひっくり返って収益が出る様になったとしても、 上がるのは役員達の給料だけで、一般社員の給料なんか永久に上がる事は無い だろう。 まぁ、今まで一般社員はほとんど一年以内に辞めているから、昇給などと いう事は全く考えなくても良かったのかもしれないが:-)

社長は「働いてやっているという意識の社員は要りません」などと言っている が、どう考えても社長自身が「給料を払ってやっているという意識の経営者」 なのだから、始末に負えない。

そもそも、働いている以上はその対価の給料を払うのが当り前で、先々月などは 「危機感を持ってもらうため」などと言いつつ、給料遅配などという違法行為 までやっているのだから、この危機感に欠ける能天気ぶりには呆れてモノも 言えない。

その社長と言えば、以前からロクな噂しか聞かない。 売上から金を抜いた上、それをうまくごまかして、後で実際の売上金が足らない のが発覚した時、会社に金を貸し付けるという事をやって二重三重取りで金を 抜いているとか、不正に関する噂は枚挙にいとまがない。

ITバブルの頃に調子に乗って、借金して USに何億もの豪邸を建てたとかベンツ とかフェラーリとか高級車を所有し、日本では豪華マンションを買ったそう なので、これら身分不相応なモノを維持する為には、まさに守銭奴のごとく、 執拗に会社から金を吸わない事には、やってられないのだろう。

まぁ、中小企業の社長あたりで、利益の中から多少ごまかすってのはある程度 仕方が無いとは思うが、ごまかすのが主になって、種もみである資本金を喰い 潰している様では、会社として終っているだろう。

寄生虫ですら宿主が死なぬ様に配慮するというのに、このえげつないまでに 金に執着して、会社を傾かせるとは寄生虫にも劣るね:-)。

専務は100万、社長は200万の給料だそうだが、この金額自体が彼らの経営センス の無さを物語っているというものだ。

そして、リストラで役員報酬30%カット、10人を削減するという方針を打ち出す らしいが、役員の報酬からすれば、わすか30%のカットなんぞ痛くもないだろう。

会社に絶大な貢献をしていて、わしの尊敬する人などは、「どこかへ移り たかったら移ってもいいですよ」などと言われているらしい。 人間として未熟な経営者には、人を減らすという事が自らの足元を掘り崩した 上でそれが墓穴にもなっているというのが解らんようだ。

社長は「俺と Gと Nと Nと Hだけ(全部呼びすて)が居れば利益の出る会社になる (きぱ」などと言っているから、是非そうさせてあげるのが良いと思う。 手足の無くなったタコが生きて行けるのか見物だが、その結果、社長が海に 沈められる事になったとしてもそれは本望だろう。


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Yuji Noizumi
Last modified: Mon Jul 30 03:49:52 JST 2001