会社で、喫煙場所1箇所が使用禁止となった。誰かが外の喫煙場所に通じる扉の鍵を閉め忘れたらしい。わしは、電子タバコだから、喫煙場所は使っておらず、痛くない。
社長は非喫煙者なので、喫煙者に対して甘いという事は無い。まあ、、防犯上、会社を危険に晒した訳だから、「最低限の当たり前の事ができないなら使うな」というのは、厳しい訳でも無く、至極当然だな。
わしのは、電子タバコと言えど、ニコチン含有リキッドなので、煙が無いだけで紙巻タバコと全く同じ仕組みでニコチンを摂取できる。
電子タバコは、最近、禁煙グッズとして脚光を浴びて来ているが、タバコの依存は、習慣的依存と身体的依存があり、この2つの依存を克服する事が禁煙グッズの目的だ。
習慣的依存ってのは、精神的な不安感から来る依存で、決まった行動パターンや身体への刺激が無いと不安になるという心理的圧迫感がもたらすもの。
身体的依存ってのは、ニコチン摂取欲求や、ニコチン耐性で脳の報酬系への快感がニコチンという物質が無いと起きなくなる事で、ニコチンに依存する事。
ニコチン含有リキッドの電子タバコは、習慣的依存の置き換えには非常に効果的だ。ガムとかパッチとは違い、今まで通りに吸えばいいだけだ。何しろ、ニコチン摂取の原理がタバコと全く同じだから、殆ど違和感無く置換できる。
しかし、葉巻とか、パイプとかの話をWebで読んでいると、ふと、「パイプ吸いたい」等の衝動が一瞬湧きあがる事がある。
これも習慣的依存の恐ろしいところで、パブロフの犬と同様、過去のニコチン摂取時の快楽の状態を脳が記憶していて、パイプで燻らした煙の香りとか、煙等の身体に対する刺激の再現を要求している訳だ。
なので、理論的に、血中ニコチン濃度を上げてやれば、衝動が収まるのは明らかだから、電子タバコでニコチン摂取して、急速に血中ニコチン濃度を上げる事で、すぐに衝動が収っている。
で、問題は身体的依存からの脱却だが、長期喫煙でニコチン耐性ができている者には、ニコチン摂取をやめると、離脱症状で思考力低下、記憶力減退等、脳機能の低下症状が現れ、これは、プログラマならば、致命的。
ニコチンは神経伝達物質の役割を果たし、ニコチン性アセチルコリン受容体に作用して、報酬系への快感になるのだが、ニコチン耐性というのは、ニコチン摂取の継続で、受容体への過剰な作用を抑制する為に調節が働いて、受容体が閉じてしまい、耐性ができあがる。
これで、ニコチン無しでは通常生活が営めない薬物依存の完成で、例えば、思考する為に脳が神経伝達物質を出しても、減少してしまったアセチルコリン受容体では報酬系への作用が不十分で、思考力や記憶力が発揮できないという状態になってしまう。
近年では、米国由来のニコチン置換療法という、タバコからニコチン摂取していたのを、ニコチンガムやパッチ等、別の手段から摂取して置き換え、徐々にニコチン摂取量を減らすという方法が目立つようになってきた。
理論的には、ニコチン摂取量の逓減で、血中ニコチン濃度を徐々に減少させれば、ニコチン耐性で減少したアセチルコリン受容体が復活するはずだが、脳が満足しない状態を継続して、ニコチン摂取量をコントロールするのが非常に難しい。
だから、長いニコチン欠乏状態の苦痛を継続させず、即座にニコチンを断って、離脱症状も我慢しなさいという考え方が従来のものだが、 ニコチン耐性ができあがった人が仕事に支障が出る等の弊害が無ければ、これが最も正しいだろう。
で、「禁煙補助剤(ニコチン離脱のための製品)は悪い冗談か?」なんてのを見つけた。まあ、ニコチン置換療法は楽そうで一番過酷だから、失敗率が高いのは理屈から言ってもそうだろうな。