言志Vol.9

言志Vol.9を買った。

中野剛志先生が相変わらず、鋭い指摘をされている。

 今のところ、経済政策に関する限り、安倍政権のスタンスは著しく一貫性を欠いている。
安倍政権は「三本の矢」と称して、金融緩和、公共投資、 そして成長戦略を実行するとしている。いわゆる「アベノミクス」だ。この三本の矢のうち、公共投資の矢は、明らかにケインズ主義的な方向への転換を示唆し ている。ところが、成長戦略の矢は、産業競争力会議における議論から伺えるように、新自由主義・構造改革の方に向いている。金融緩和の矢は、ケインズ主義 とも新自由主義とも両立しうるものである。
また、安倍総理は「瑞穂の国の資本主義」を目指すと宣言し、強欲な金融資本主義を非難する一方で、その強欲な金融資本主義者に後押しされたTPP(環太平洋経済連携協定)を「未来の繁栄を約束する枠組み」だと言ってのける。これも、甚だしい矛盾である。
人事を見ても、ケインズ主義者として知られる麻生太郎氏を副総理・財務大臣とし、同じくケインズ主義的な主張を展開する藤井聡氏を内閣官房参与に起用しながら、その一方で、代表的な構造改革論者の竹中平蔵氏や大田弘子氏を審議会の委員に登用しているのである。
このように、アベノミクスの「三本の矢」の向きは、いったい、どの方向を向いているのか、まったく分からない状態にある。

言志Vol.9「三本の矢はどこへ飛ぶ」中野剛志著より

民主党政権は、現産業競争力会議のメンバーの市場原理主義者、いわゆる中野剛志先生の言われる「強欲な金融資本主義者」の言いなりになっていた節があり、需要と供給の関係で、放っておけばいずれ均衡するという事を吹きこまれていたのだろう。

わしも、小泉政権あたりでは、こういう「市場に任せる」という考え方であったが、しかしながら、ケインズはこういう状況を「長期的には我々は死んでしまう」と言っている。

つまり、需要が減っている段階では、別の見方をすれば供給が過大であり、放っておけばいずれ供給が減少するという事だが、これが何を意味するかと言えば、企業倒産と失業者の増大である。

もう一つ忘れてはいけないのが、この供給サイドである企業や従業員も需要を担っている立場であり、供給が減れば、需要も減少してしまうので、放置するとケインズの言う通りになるという訳だ。

デフレで若年失業者とワーキングプアが増大し続けていたが、利益を挙げていたのが前述の「強欲な金融資本主義者」達であり、金持ちから貧乏人にお金が流れるトリクルダウンどころか、貧しい者を益々貧しくして生殺与奪権を握り、奴隷労働力として酷使して、自己の利益の最大化を図るという下衆共だ。

当然ながら、こういう下衆共の言う事を聞けば、再びデフレに戻り、民主党政権の二の舞となるから、わしは財界を敵に回さない為の「やるやる詐欺」だと思っている。

西田昌司参議院議員の話だと、安倍首相は「ドバイからLNGを買わねばならない」など、色々とシガラミがあるようで、普段の言説と矛盾するTPPにしてもこういうシガラミの類であろう。

そして、引用はしないが、中野先生のコラムでも言われている通り、こういう強欲な金融資本主義者の下衆共に後押しされた政治家を参議院選挙で当選させてはならないという事で、こういうのが当選すると、安倍首相は組織統一の為に妥協を余儀なくされ、構造改革路線へ進まざるを得なくなる。

自分の生活を守るにはしっかりと考えて投票しないといかんね。