何の予告もなく元上司が現れた。
まあ、健康保険や年金手帳の返却やらしないと進まないから、来てもおかしくは無いけど、逐電したから、てっきり郵送されてくるのかと思っていた。
わしが月末処理で忙しいから、余り追求されないと思ったのか…と邪推してしまう。
でも…、わしが日常業務で手一杯なので、代わりに親会社の経理の人が過去の帳簿をチェックしてますから〜残念ッ!
上司、ぬか喜び斬り!
でも、追求が少し甘いんだな。ある人の手当ての封筒が金庫に残ってて、書類上、欠勤控除で満額ではいけないはずなのに、満額入ってて、封函されている封筒。
その封筒を見せつつ、「この中の5,000円は何ですか?」の一言で相当のダメージがあるはずなんだが、親会社の経理の人と社長と元上司は社長室でやりとりしていたので、余りよく分からない。
元上司は、社長室から出てきた後、結局、わしには何も言わずに帰った。まあ、わしも元上司の方は見ないようにして無視してたから、どうでもいいが、まず、謝罪の一言があるのが筋なので、わしの方から何も言う事は無い。
辞めた理由について、「わしが居ると皆に迷惑がかかるから」とか言っていたそうだ。
まあ、仕事を握って放置するから、迷惑には違い無いが、本心からそう思っているなら、途中で全てを放り出して迷惑をかける事にも躊躇があって然るべきだ。それが一切無いというのは、言っている事に信憑性が全く無いわな。
社長室でチラっと見たが、元上司は、「辞任届」という封筒を持ってきていた。わしも詳しくは知らんけど、役員の解任は株主総会で決定するから、本当はお伺いを立てる為に「辞職願」が正しいと思うんだが…
とりあえず、親会社の経理の人は、経理の過去の部分で、訳の分からん数字について、元上司が再び来社して正常化すると言っていたが、来るのかどうかあやしいのう。